都市農業と地産地消についての学習会

10月6日(木)高1475798709796-200x200座渋谷のイコーザにおいて「食の安全と都市型農業を考える学習会」を開催しました。講師にお呼びしたのは、コモンズ代表、ジャーナリストの大江正章さん。「都市農業と地産地消」についての興味深いお話を伺いました。

国の政策の下、やせ細る日本農業の未来は決して明るいものではありません。しかし、都市型農業に目を向けると、これからの農業を担う希望の芽が見えてきます。2015年、都市農業振興基本法ができ、都市農業が初めて振興の対象となりました。都市型農業では近年、個人直売がJA出荷割合を超え、地産地消の動きが活発化しています。

先進例として東京都練馬区の農業技術を農家が市民に教える体験農園のお話を伺いました。1区画30㎡、約25品目を栽培するために受講者は農家から週1回、低農薬基本の指導を受けます。区から補助が入る区民は年3万8000円、区民以外は5万円を払いますが、平均8万円相当の野菜を収穫でき、高い満足度が得られると好評です。農によって縁ができ、サラリーマンの第2のステップボード、老後を支える地域の共的セクターとしての役割ができつつあります。

農家側としては、市民に畑を貸すことで、安定した収入を得ることができ、農地を残すことで相続税納税猶予制度が適用される。後継者は安心して農地を継ぐことが可能になります。体験農園からさらに手を広げ、都の共同事業として精神障がい者を受け入れ園芸療法を行ったり、農園レストランを経営し成功している事例も紹介されました。

都市農業が発展するためには、農家の方たちの熱意と共に自治体の協力も必要です。自治体による直売所の提供や学校給食への地場農産物導入、人材育成や緑農地制度の創設、空き家の撤去と宅地から農地への転換など、政策につながる様々な可能性を見出すことのできたひと時でした。