学びの場に求められているもの

 11月21日、神奈川県教育委員会主催の「夜間中学校体験会」に参加しました。会場は、相模原市にある神奈川県立神奈川総合産業高等学校。

 戦争・貧困・不登校など、様々な理由で義務教育を 卒業できなかった人たちが全国に百数十万人いるとされています。現在は、病気やいじめなどで学校に通えず、義務教育課程で十分な教育を受けられなかった 20 代・30 代の若者たちが、公立の夜間中学校で生きるための「学びなおしの場」としても通っています。 また、外国籍の人なども共に教室で学んでいます。 私が体験したのは、美術と国語のコラボというユニークな授業でした。美術は、ひらがなの「へのへの もへじ」を音読した後、顔に見立てて書き取りをしま す。読むことはできるが書くことは苦手という人も、 ひらがなを記号に見立てると覚えやすくなります。国語では、風景や人物の写真から受けたイメージを言葉に書き取ります。さらにそれらを組み合わせて短歌をつくるという高度な授業でした。年齢も国籍も文化も違う生徒さんが互いに成果をたたえ合う様子は、学ぶことの楽しさという教育の原点を見た気がしました。

 2017 年、文部科学省は教育の機会を確保することを目的とした「教育機会確保法」を施行し、47都道府県に少なくとも1校の公立夜間中学校の設置を求めました。当時は 8 都府県で 31校、2019 4 月、新たに川口市と松戸市で開校し33校となりましたが、まだ十分ではありません。県内では、横浜・川崎の公設2校に加え、今年 2 月、相模原市が公立夜間中学を市内に新設する方針を固めました、県央での学びなおしの場として期待されます。