制度開始から20年の介護保険

 2000 年4月に始まった介護保険は、4月で発足から 20 年を迎えます。これまで家庭で主に女性たちが担っ てきた家族の介護負担を減らし、必要なサービスを自 由に選べるなど介護の社会化を目指しました。 制度が創設されたことで、多くの民間事業者が参入 し、福祉用品の開発や介護サービスが拡大しました。 しかし、超高齢社会を迎え、当初の理念は大きく姿を 変えようとしています。法改正は「健康寿命の延伸」 と「互助」にシフトしました。

まず 2005 年の改正で、要介護認定に要支援 1・2 を 新たに加え、介護状態にならないようにする介護予防 サービスに移行させました。2015 年の改正では地域包 括ケアシステムの構築に向けた「地域支援事業」の充 実を明記。訪問介護とデイサービスが保険給付から外 れ、住民主体の生活支援サービスを含む要支援者向け 事業や介護予防事業が新たに市区町村の介護予防・日 常生活支援総合事業(総合事業)となりました。当時、 県内自治体の平均高齢化率は23.6%、要支援認定率は 4.4%でした。2019 年には、平均高齢化率が 24.9%と なり、要支援認定率も 4.8%と地域で支えるべき高齢 者は確実に増えています。

 国は将来的には、要介護 1・2 も軽度者として総合 事業へと軸足を移そうとしていますが、これまでの改 正の影響を検証することが必要です。介護保険は多く の被保険者によって支えられています。軽度者・重 度者と線引きせず、社会保障として必要な人に必要な サービスが届くよう、今後も政策提案していきます。