気候変動と海洋プラスチック問題
プロダイバー歴 30 年以上の経歴を持つ武本匡弘さ んの講演会に参加しました。武本さんは、海を職場として活動し、海と向き合う中で海洋環境の悪化や劇的 な変容を見てこられました。ここ数十年、海だけで なく空や風にもただならぬ変化を感じ、自ら操船した ヨットで探査し、それらの記録をもとに環境啓発活動 を行っています。今回、武本さんの貴重なデータから 気候変動・海洋汚染の被害を最も受けている太平洋・ ミクロネシア海域の実態を目の当たりにして、愕然と しました。
プランクトンを採取する網には、必ずマイクロプラ スチックやマイクロファイバーが混入し、海はまるで プラスチックスープのように変容しています。もちろ んこの中には、私たちが便利に使うプラスチック容器 やペットボトルなどが含まれています。これらのマイ クロプラスチックは、太陽光と海水で劣化が進む過程 で強力な温室効果ガスであるメタンとエチレンを放出 するという研究結果も報告されています。 また、海洋に流れたペットボトルのボトル部分はマ イクロプラスチックとなり原型をとどめないのに対 し、ペットボトルキャップのほとんどが分解されるこ となく陸地に漂着します。強度を保つためのコーティ ング剤によるものですが約半数の国産ペットボトルの キャップから有害化学物質のイソシアネートが検出さ れています。
EU では、使い捨てプラスチック禁止案が欧州議会 で承認されています。イギリスから上陸したバンブー ファイバー(竹の繊維)とでんぷんでつくられたエコ カップやセルロース(植物繊維)100%のスポンジな ど環境にやさしい製品に目を向け身の回りのプラス チック製品を見直してみたいと思いました。 気候変動が臨界点に達する前に、私たちひとり一人 が行動を起こす時が来ています。