子どもの里視察

 12月3日、大阪市西成区にある「こどもの里」の視察に行きました。
50年以上この地区に住み街の歴史を知る水野阿修羅さんにこどもの里がある釜ヶ崎地区を案内していただきました。釜ヶ崎は日雇い労働者の街で500円、100円と書いた簡易宿泊所があちこちにあります。そこに泊まることが困難な時は「あいりんシェルター」という無料で宿泊できる施設もありました。公園では教会やNPOによる炊き出しがあるため沢山の人が集まります。高度経済成長の時に建てられた建物は老朽化し公営住宅や老人ホームに建て替りが進んでいました。また労働者も高齢化が進み老人ホームや介護事業所が増えているということでした。困難を抱える人が多く暮らす釜ヶ崎では色々なところで助けあいや支援があり、誰でも受けいれる街、多様性のある街となっています。

簡易宿泊所とあいりんシェルター

炊き出しが配られる公園

 

 その後NPO法人「こどもの里」で荘保共子館長さんにお話を伺いました。教会のボランティアでこの地区に来た時に放課後家に帰っても親がいない、公園でも遊ぶところがないことに気づき居場所を作ってあげたくて遊び場所を提供したのが始まりだそうです。未就学の兄弟が一緒に来たりお姉ちゃんが夕方迎えに来ると赤ちゃんをおぶっていたりするので学童保育だけでなく色々な年齢の子どもを受けれることになりました。またDVからの緊急一時避難場所や家の事情で家に帰ることができな子どもの宿泊など求められることに寄り添い支えとなってきました。現在はニーズに合わせ留守家庭児童対策事業(学童保育)、地域子育て支援拠点事業(つどいの広場)、小規模居住型児童養育寮(ファミリーホーム)、児童自立支援援助事業(自立支援ホーム)、自主事業(緊急一時保護、宿泊所、子ども夜回り、ステップハウス事業)などを行っています。子どもの里は信頼できる大人に見守られながら安心して過ごせる居場所となっています。常に子どもの権利を守り、子どものいのちをど真ん中に置いた活動を続けていると荘保さんはお話しされました。

 またお話で印象的だったのは遠足や運動会など行事があると子どもたちは具合が悪くなって学校をお休みするのだそうです。何故ならお弁当を持っていることができないから。子どもはそういうことを心配しないで学校生活を送ることはできないのでしょうか?そういうところに支援は活かされるべきなのではないのでしょうか?
 日本は1994年に子どもの権利条約を批准しています。しかし25年経った今でも子どもの権利を保障する法律はできていません。制度に子どものを合わせるのではなく子どものことを一番に考えた子どもの権利を保障していくことが必要です。また子どもの支援と共に親や家族の支援も必要であることが子どもの里の実践からも伺えます。子どもの権利を理解し地域や社会で支えていけるような仕組みづくりが求められています。

子どもの里

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