講演会「お買い物で未来をつくる~共に生きるために~」に参加して

私の朝はコーヒーから始まります。今、お気に入りなのは、ネパリ・バザーロからWEショップやまとが仕入れている、少し浅炒りのネパール・グルミ村の*フェアトレードコーヒーです。
今回、そのコーヒーをフェアトレードしているネパリ・バザーロのスタッフのお話を聞く機会がありました。

コーヒーの産地のネパールはエベレストを含むヒマラヤ山脈および中央部丘陵地帯と、南部のタライ平原からなる内陸国です。多言語多民族国家です。国民の80%が農業に従事し、また、国民の80%がヒンズー教を信仰しています。国内に産業が乏しく、海外に出稼ぎに出る人が多いとのことです。ヒンズー教の特徴であるカースト制度(親から受け継ぐ身分や職業による身分制度)は廃止されましたが、根強く残る差別意識と社会構造があるとのことです。その中でもダリット(抑圧されたもの)はカースト外にあって、平等な権利もなく、差別と暴力に晒される状況があり、特に女性は穢れたものとされ、過酷な家事労働を担っています。

ネパリ・バザーロのはじまりは1991年にネパールの子どもたちの教育支援のための活動開始からとのことです。活動するなかで、子どもたちが学校に通えない背景に貧困があることが分かったそうです。(1日2ドル未満で暮らす国民が2015年で70%)支援活動の中で、一人の女性から「恵んでくれなくていい。トレードしてほしい。自ら力をつけて立たなければこの国は変わらない。」と言われ、人々が必要としているのは仕事の機会だと知ったのだそうです。そして、翌年、ネパールの伝統的な技術や農産物を活かした商品の企画・輸入を行う有限会社ネパリ・バザーロが設立されました。

手編みのセーターの企画・輸入からスタートし、布地の開発を行うなどしたそうです。服作りに伴う紡ぎや織り、編み、縫製など、多くの仕事が作られました。収入と技術を得た女性たちには自信や誇りが生まれ、精神的自立にもつながったそうです。
1994年にはネパールのコーヒーを産業にとゼロから村人と取り組み、1999年には紅茶農園と出会い、様々な商品企画とアイデアを提供してきたとのことです。また、農園で働くワーカーの子どもたちに奨学金支援を継続し、未来への希望が生まれているとのことです。

ネパリ・バサーロが様々な「仕事づくりを通して尊厳を守る」ことを大切な活動と位置付け、アイデアを出し、フェアトレードを実践すると共に、非営利活動としての教育支援等の福祉活動を実施している状況が分かり、心うたれました。(F.T)

* フェアトレードとは発展途上国の生産者が適正な価格で商品を販売できるようにする「公正な貿易」の仕組みのことです。
◎NPO法人ベルダレルネーヨ(ネパリ・バザーロ)の2024年間報告書には以下のように記載されています。
「ネパリ・バザーロ」は活動の総称です。フェアトレード事業を行う有限会社ネパリ・バザーロと福祉活動を行う非営利活動法人ベルダレルネーヨで構成し、共に活動しています。
◎でも、2024年の男女格差指数ランキング(経済・教育・健康・政治)は
ネパール 117位  日本 118位

お話をするネパリのスタッフ

ネパールでは、廃止された後も差別意識と社会構造が根強く残る