有機フッ素化合物の水質汚染、引地川でも

 2019 年、NHK「クローズアップ現代」で、横浜国立大学名誉教授の益永茂樹さんが、かつて有機フッ素化 合物の高い濃度が検出された場所を改めて水質調査したところ、大和市の引地川で、アメリカの基準(1リットル当たり70ナノグラム)の 1.7 倍という高い濃度が検出されたと報道され、大きな反響を呼びました。

 有機フッ素化合物は、焦げつかないフライパンや自動車、半導体、過去には米 軍基地で使用する泡消火剤などに使われていました。 とりわけパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)に比べて自然界ではほとんど分解されないため、環境中に長く残り、水を汚染し発がんリスクもわかっています。 特に米軍基地の周辺に濃度の高い場所が集中していますが、全国の都道府県で環境中の有機フッ素化合物の水質調査を行っている都道府県は、わずか6都県です。河川を管理する県に問い合わせても、国内には安全基準値が設定されていないため調査対象とはならないとのことでした。
 2019年の6月議会では、神奈川ネットの提案で大和市議会として国に対し「有機フッ素化合物の安全基準値の設定を求める意見書」を提出しました。 昨年、環境省はPFOS、PFOAの排出源となりうる施設周辺の河川、地下水、湧水など全国 171地点で水質調査を行い、今年6月 11日に結果を発表しました。 大和市引地川の山王橋地点の濃度は 1リットル当たり 248.5 ナノグラムと国が示す暫定的な目標値の 50 ナノグラムの約5倍もあることわかりました。生活環境保全課に問い合わせたところ、昨年行った県の調査と数値的には変化がないとし、飲料水としていないのですぐに健康被害は出ないと、1年前と同じ答えが返ってきました。今後は、要監視項目となるため、大和市でもPFOS、PFOAを含めた水質調査を行うことになるだ ろうとのことです。 米軍ではすでに使用されていない泡消火剤ですが、 国内にはまだ保管されているものがあり、防衛省は 2021年度までに保有している泡消火剤を全て廃棄するとしています。安全に処理されることと共に、今後汚染源の特定が明らかになるよう求めていきます。