危ういプラスチック新法

 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法 律」(以下プラスチック新法)が 6 月の参院本会議で 可決、成立しました。 新法はプラスチックを使用する製品の設計から廃 棄物処理に至るまで、そのライフサイクル全般にお ける「3R( リデュース・リユース・リサイクル ) + Renewable( 再生可能 )」を促進するという内容で、政 府肝いりの法律です。また、使い捨てのプラスチック やスプーンなどを無償で消費者に提供する飲食店など に対し、新たに設ける基準に著しく逸脱する場合には 改善を促す勧告や命令、50 万円以下の罰金を科す場合 もあると明記されました。しかし、製造事業者および 使用事業者に対し、環境配慮設計から、使用済みプラ スチック製品の分別回収・リユース・リサイクルまで ライフサイクル全般にわたる責任の負担は求めていま せん。
 「容器包装リサイクル法」で消費者が分別排出、市 町村が分別収集、事業者が再商品化するという役割分 担を定めているのに対して、プラスチック新法は飲食 店などの事業者に対して、新たな判断基準に基づく削 減を求めるだけに留まっています。しかも、家庭から 容器包装プラと製品プラを混合して排出することを容 認し、分別回収と再商品化に伴う費用はすべて自治体 負担となります。これでは「拡大生産者責任の原則」 にも反しており、製造事業者や使用事業者にインセン ティブが働かないため、プラスチック製品の削減には つながりません。大量生産されたプラスチック製品が、 熱回収を中心とした焼却や輸出により処理されること で、今後も地球温暖化要因となるCO2の大量発生や、 プラスチックごみの環境流出が続きます。
 循環型社会形成推進基本法に規定された優先順位に 基づき、発生するプラスチックを最大限抑制すること を最優先した上で、次に代替品を含め長期間利用やリ ユース等を推進する。使用済みプラスチックの水平 リサイクルを推進することにより「熱回収を最小化し つつ、環境への流出を2030年には根絶」出来るよう、 社会基盤の構築に必要な措置を講ずること。デポジット制などによる確実な回収率達成を義務付けること。これらに注力し、真の循環型社会と温暖化対策を両輪 で進めていくべきです。

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