大災害に備える!~ソーシャル・キャピタル「地域の力」の重要性~
天災は予告もなくやってくる
私たちは、天気予報で「明日の降水確率は70%です」と聞くと傘の用意は怠りませんが、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率が70~80%と聞いても、「あと30年もある」と思ってはいませんか?
一年前の元旦、前触れもなくМ7.6の能登半島地震が発生しました。日本は地震の多い国ですが自分に降りかかってくるとは思いたくはないものです。
今年度、避難生活支援運営委員会メンバーとして防災や避難生活に関わり多くの学びを得ました。被災したら「まずは避難所に!」と多くの方が第一に考えると思いますが、大和市内の避難生活支援施設(以下避難所)33箇所は、発災後安全を確認したうえで避難所従事者(市職員)によって開所されます。開所された後は、自主防災会(地域住民)を主体とする避難生活施設運営委員会が行うことを基本としています。
実際に避難するにしても、行政職員も自治会役員も被災者であり、避難所運営にどれだけの人員が参集できるかわかりません。避難施設の配置や機能、運営を学んだ中で私が一番印象に残ったのは、職員の「手ぶらで来ても全てできると思わないでください。できれば三日分の食料、水、携帯トイレなどご用意ください。」という言葉でした。誤解されると困りますが、行政は避難所に来た人を拒むことはできません。でも備蓄品も決して十分とはいえませんし、倒壊の恐れのないマンションなどの集合住宅の方には遠慮してもらい、全壊など命の危険や寝るところもない被災者の方の避難生活を支えて欲しいというのが本音でしょう。
避難所に到達してから始まるサバイバル
避難所は普段は公立の小中学校や高校の施設となっていますが、発災後もできるだけ学校運営は継続したいものです。校内には被災者用の防災備蓄倉庫とは別に学校が児童生徒、職員のための備蓄倉庫を持っています。学習する教室と避難所となる特別教室は防火扉で仕切られ行き来はできません。高齢者、障がいのある方、妊産婦など要配慮者の方はバリアフリーの特別教室等を使用します。それ以外の比較的健康な方は体育館で避難生活をおくりますが避難所に段ボールベッドの備蓄はありません。段ボールは湿気で劣化するためいつでも使えるように置いてあるわけではありません。
また、今はペットとの同行避難への理解が進みましたが、私のかかわった避難所では、動物アレルギーのある方への配慮のためペットは校庭の端にテントを張りそこにケージを置くか繋いでおくことになるとわかりました。いつも一緒で家族同然であっても、目の届くところで過ごすことは難しいようです。分離不安でペットに鳴かれたら飼い主さんもつらいでしょう。
ソーシャル・キャピタル「地域の力」を強くする
今年度、自主防災会で防災講話を企画するにあたり自治会で防災に関する意識調査をしました。地震などで被災してもマンション住民は在宅避難が基本と理解している方がいる一方、まず避難所にという意識の方も一定数いることがわかりました。断水に備えてバスタブに水を貯えるという行為は集合住宅ではタブーとされているのですがご存じない方もいて、この機会に防災についてみんなで共通認識を持とうということになりました。
何より、コロナ禍で花見会や夏祭りなどのイベントが中止され顔を合わせる機会が減り、コミュニティの関係性が希薄となり地域力も低下していました。
2026年5月の熊本地震でがれきの中から生還した人の90%が自力で脱出したり、家族や知人によって救出されました。普段からの関係性が生死にも関わってきます。
また、マンション内の防災倉庫内の災害用備品を効率良く持ち出せるよう、置き場所と消費期限の可視化、水以外に長期保存可能な食品のローリングストックにも取り組むことになりました。安全を確保しつつ共助で避難生活を乗り越えたいものです。
現在、大和市の防災マニュアルは戸建がメインになっており、集合住宅の防災マニュアルはありません。戸建て住宅のマニュアルをそのままマンションにあてはめると、大きな間違いをおかし、漏電・漏水などの二次災害をおこす恐れがあります。集合住宅の特徴にあった防災マニュアルを作成している自治体も増えています。市民の命と財産を守るためにも事例を参考に大和市でも作成を急ぐべきです。H・K